げんじぶから始まる進行形

2019年デビューEBiDAN発の7人組ダンスボーイズグループグループである原因は自分にある。の公式YouTubeにて新曲『嘘から始まる自称系』のMVが公開されました。

 

 

公開前日に意味深な画像と共に予告されてから公開され、果たしてこの曲が3rdシングルなのか配信限定シングルなのかアルバムのリード曲となるのかまだまだ謎が多い『嘘から始まる自称系』

 

 

MVのストーリー性やYouTubeの概要欄などからさあ好きなだけ考察してください!と言われてる気分になるこの曲ですが、今回は楽曲とげんじぶの方向性について書いていこうと思います。

 


新曲の方向性、正直にいうと殴られたようにびっくりしました。予想は超えてくるだろうな、変化球を投げてくるだろうなとは思っていたけど、それを超えてくるあたり。今回の『嘘から始まる自称系』は、各記事が書いているようにまさに「攻撃的な新曲」

 

 

以前書きましたが、2ndカップリング曲の『Joy to the world』が3rdタイトル曲に相応しかった、カップリングには勿体ない出来だと感じていて、ピアノを基調としつつさらにジャズっぽさに寄せ大人な雰囲気を感じさせるところがそれっぽかったと考えていました。『原因は自分にある』が1ならさらにキャッチーさが足された『嗜好に関する世論調査』が2、より楽曲のオシャレ感に幅を利かせた『Joy to the world』が3のように、““進んでいく””のが当たり前のように感じていました。

『嘘から始まる自称系』はある意味、0に戻った、という印象を受けました

作曲はお世話になっております久下真音さんで、随所にピアノサウンドが入り込むげんじぶらしい楽曲になっています。それでいて0に戻ったと感じるのは、そのリリックやMVにボカロに““戻った””という感覚があったからです。

 


わたしはげんじぶに対して、ニコ動出身である米津玄師(ハチ)がJ-POPシーンに台頭しボカロの潮流が邦ロックに流れ込んでそこの境目が曖昧になってきた、そのなかで、いわゆる““アイドル””としてその意志を継ごうとしてるのが「原因は自分にある。」である、という理解をしていました。というのも原因は自分にある。本人たちが「普段バンドとかを聴く層にも(ボーイズグループである自分たちの曲を)聴いて欲しい」と言及していることから、彼らは邦ロックへのアプローチをしているんだなという印象を受けていたからかと思います*1

そのような理解だったからこそ、今回のイラストアニメーションとモーショングラフィックスのニコ動っぽいMVの出し方、厨二病どストレート!なリリックに衝撃を覚え、ボカロに““戻った””と思うに至ったのです。

このボカロに““戻った””と感じる、言わばエピソード0的な今までのげんじぶの本流から外れた*2MVをこのタイミングで出してきたというのもまた面白く、3rdシングルでもなさそうな雰囲気なのが良い。

それゆえもし3rdシングルが『原因は自分にある。』、『嗜好に関する世論調査』に続くげんじぶの本流ともいえるサウンドとMVで発表されてもさほど違和感がないし、もっと突拍子もないものを提示されてもまあそれもげんじぶだしとも受け止められる、良い塩梅の、良いタイミングの新曲発表になったように思えます。

いわゆるアイドルである彼ら(そして近年トップクラスの顔面偏差値の高さを誇るとわたしは思ってる)が顔出しではないMVを原因は自分にある。として3番目に出すのも、げんじぶって枠に囚われずこんな感じで行くけど、いいよね?まあ別に着いてこれないなら置いていくけど。みたいな強気なトップスピードを感じたりもしています。そういう柔軟で頑固な姿勢、嫌いじゃない。

 

 


しかしそもそもボカロとJ-POPの親和性を考えてみるとボカロに戻るという感覚も不自然なものであって。

初期のボカロPはASIAN KUNG-FU GENERATIONRADWIMPSBUMP OF CHICKEN相対性理論などの影響を受けて育ち、そのボカロを聴いた世代であるいわゆるボーカロイドネイティブ世代であるOfficial髭男dismだとかそれこそ*3King Gnuが今のJ-POPを作り始めてるわけであるから、ボカロとJ-POPが交錯するのは必然であったとも言えます。


だからこそ、そこにアイドルが乗っかってきてもおかしくないし、何なら遅かったくらいであって、遅かれ早かれ原因は自分にある。のようなグループが誕生するのも時間の問題だったのかもしれません。

また、そんなボカロネイティブの髭男・King Gnuが席巻する今のJ-POPシーンに類似性を持った曲で堂々と斬り込んでいく原因は自分にある。は、アイドルとしても、J-POPとしても割と先端の部分にいると言っても過言ではなさそうだなんて思ってみたり。

 


ボカロ×J-POP×久下真音が織り成す世界観だけで十分面白いものが出来上がっているのですが、『嘘から始まる自称系』のボカロに““戻った””ともいえるニコ動っぽいMVからボカロがあるJ-POPシーンが当たり前の時代に生まれた原因は自分にある。のメンバーの若々しくて真っ直ぐな声が聴こえることでその面白さが何乗にもなっています。

そして、3rd*4だからこその彼らの声質を捉えてそれを引き出したパート振り、3rdだからこその彼らの成長とそれを見込んだ製作陣の連携プレーが為せる技がこれでもかというくらい見せられる楽曲の完成度。

 

 


2020年代のボーイズグループの無限の可能性を原因は自分にある。に見せつけられているように思います。

新型コロナウイルスの影響でエンターテインメント界が萎縮してしまっている状態ですが*5そんな状況も逆手にとって原因は自分にある。らしく前に進んでいってほしいです。

 

 

☆☆

 

*1:彼らがボカロ全盛期を知らないからこその発言かもしれないけど、彼らと同世代の現代っ子はみんな彼らと同じ感覚なのだと思う

*2:とはいえまだ2曲しか出してはいませんが

*3:『嘘から始まる自称系』公開直後からファンの間では専らKing Gnuと話題に

*4:便宜上3rdと書きます。げんじぶとして3rdMVだから間違ってはない

*5:彼らも2ndシングル購入者のスペシャルイベントが延期、ゲストとして出演予定だった神戸コレクションが中止になっているので、このMV解禁が当初計画のままなのかどうなのかが分からないし、これからの予定も変更してきている可能性が十分にある